本日、ピアニストの児島 響さんによるワンコインコンサートを鑑賞しました。
この日のプログラムは、ビゼーやショパン、ムソルグスキー、リストといったクラシック作品に加え、ジブリやディズニー、映画音楽、さらにはYOASOBIやMrs. GREEN APPLEなど、幅広い世代に親しみのある楽曲で構成されていました。
それらを単に並べるのではなく、ピアノ1台で一本の流れとして編み直し、世代やジャンルの垣根を自然に越えていく構成は非常に見事でした。
演奏中、客席では小さな話し声が聞こえたり、子どもの声が響く場面もありました。しかし児島さんはそれを咎めることなく、どうぞそのまま残って聴いてくださいと穏やかに声をかけ、音楽をきっかけに何かを思い出したり、気持ちが動くことも大切だと語っていました。
静かに、身じろぎもせずに聴かなければならないというイメージが強いクラシック音楽。その固定観念を取り払い、リラックスして、純粋に音楽を聴いてほしいという姿勢に、強く心を打たれました。
音楽を介して、会場の中に自然なコミュニケーションが生まれる。そのこと自体が、このコンサートの大切な趣旨だったのだと思います。
演奏は迫力に満ちていながらも、どこか自然体でした。全身全霊でピアノを弾いているようでありながら、力みはなく、音がそのまま身体の延長として立ち上がってくるような感覚があります。
ピアノと彼自身が向き合っているのか、それともすでに一体となっているのか。そんな問いが浮かぶほど、音と人との境界を感じさせない演奏でした。
20代という若さでウィーンを拠点に活動し、大学で後進の指導にもあたっている世界的なアーティストでありながら、終始穏やかで誠実な佇まいが印象的でした。
さらに、小学校や幼稚園、保育園でのコンサートにも積極的に取り組んでいるそうです。その原点は、幼稚園の頃にモンティのチャルダッシュをピアノ演奏した経験にあるといいます。先生の演奏を見よう見まねで弾いたことをきっかけに、この子はピアノを習わせた方がいいと担任の先生が両親に伝えた。その一言から、音楽の道が開かれていったそうです。
ひとつの出会いが人生を動かし、今度は児島さん自身が、音楽の楽しさを次の世代へ伝えていく。その姿勢が、今回のコンサート全体を通して、静かに、しかし確かに伝わってきました。
コンサートの最後には、多くの来場者が児島さんと握手を交わしたり、写真を撮ったりする姿が見られました。
そうした一人ひとりの声かけにも、終始気さくに、丁寧に応じておられる姿が印象的で、その人柄の素晴らしさを改めて感じました。
日頃から全身全霊でピアノに向き合っている児島さんは、佇まいも非常にスマートで、私自身は2ショットの写真を撮る際に、自分のお腹を引っ込めるのに必死だったことは内緒にしておきたいと思います。

